餅文鳥迷詩選

桜の別れ

柔らかな羽毛もそのままに
ぬくもりだけが失われ

君が温めてくれた手のひらの
優しい感触は甘美な思い出となる
共に生きた証として
その見えざる刻印は消えることなく

大人のような子どものような
無垢な瞳は閉じられたまま
その目は二度と世界を観ることも無く
そのくちばしは愛する人を呼ぶことも叶わず

ならば私が覚えていよう
ほんの小さな
小さな君を

君は天翔る神の使い
桜の花びらを巻き上げて
高く空へ空へ

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卵の王

我は今この卵を割りて
まさに生まれ出んとす

父よ母よ、我がそのうを満たす準備はいいか
我がチィと合図しようものならすぐさま餌を運ばねばならぬ

我を初めて手の上に載せる栄誉に浴する者よ
粟玉をふやかしておくことを忘れるな
我はお前に命の鼓動を聞かせよう

我は今この世界へ
光と共に生まれ出ん

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若い文鳥をなでまわす中年女のバラード

 帰り道ずっと文鳥のことばかり考えてる
 ドア開けると文鳥の呼ぶ声が聞こえてる

 ああ中年女は ああ今日も文鳥を もふもふと
 なでまわす もふもふ

 いつものように文鳥の背中に鼻を埋めてる
 ささくれた心にアロマが染み渡る

 ああ中年女は ああささやかな愛を もふもふと
 知っている もふもふ

 音声ファイルはこちらから
 ※1番しかありません

 ハナナをなで回している自分を歌ったわけでは…。

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新しい年に

響くのは君の声
響くのは君の呼び声

手のひらに残るそのぬくもりが勇気をくれる
曇りのないその瞳が道を照らす光となる

大きく広げた真白(ましろ)な羽でどこまでも一緒に飛ぼう
昼を越え夜を越え 月を越え星を越え

どんな出会いがあるだろうか
どんな別れがあるだろうか
君はいつものように 私の手のひらで羽を休める
その愛しさが飛ぶ力
その愛しさが生きる意味

君と勇気を共にしてどこまでも一緒に飛ぼう

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去り行く君へ

君の翼は飛ぶためのもの、紅水晶のクチバシは愛を歌うためのもの
まだつたないさえずりで、君は誰のために歌おうとしていたのだろう
あどけないその目に映る全てのものを、君は愛していたのだろうか
君のそばにいた全ての人が君を愛していたように

※紅水晶=ローズクォーツ

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風を届けよう

風を届けよう。
君が遠くまで行けるように、君が迷わず飛べるように。
君は名も無き星で羽をそっと休めるだろう。
君が見つめる空の下では愛する人たちが君の事を想っている。
だからそれはさよならじゃないんだ。

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ぶんてうにおもふ

ぶんてうほどあいらしいことりはいなゐとおもふのです。
かたのうえにとまっていっしょにどくしょをしたり、こくびをかしげてかひぬしのめをのぞきこむやうすなど、それこそゆいいつじぶんのためにてんからつかはされたことりのやうなきがするのです。

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モフへの祈り

文鳥よ
モフ毛が開くその様は
薔薇の蕾がほころぶに似て
我が手のひらはそなたのゆりかご

そなたを驚かさぬように
背中に鼻を近づける
柔らかな羽毛はダシ昆布の香しさ

文鳥よ
そなたのモフは我が祈り
永久にこの手のひらにあらんことを

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旅文鳥氏に捧ぐ

神は詩人の魂に翼を与えたもうた
彼の者は最愛の鳥 文鳥の姿となり
遠く旅をする どこまでも遠く

花々が咲き乱れる神の野で 彼の者は翼を休める
そして歌う 生きとし生けるものを賛美する歌を
夢に見た乙女 パピアに捧げる歌を

彼の者の名は旅文鳥
遠く旅立つ彼に餞を
いつかまた この地に降り立つ日まで

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季節はめぐる

季節はめぐる 花はめぐる
君を迎えし日の桜はすでに散り行き
今は青葉を身にまとう

君のくちばしは朱に染まり
幼き羽を惜しげも無く脱ぎ捨てる

もう少しそのままでいてはくれないか
ヒナの時間はあまりに短すぎる
けれど時に抗うことのできる者はいない
君に流れる時は
私の時より遥かに早く過ぎ去っていく

いくつの春を君と迎えられるだろうか
君を手のひらに乗せながら
そのぬくもりを感じながら

めぐる季節の中で
君と出会った意味を考える
与え合い分かち合おう
すべての喜びと悲しみを

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